mtdump(8)


名前
mtdump - multi-target dump

形式
mtdump [-title title] [-config configfile] [-logdir pathname] [-logname filename] [-level dumplevel] [-dumphost hostname] [-device devicename] [-d density] [-s size] [-b block] [-admin administrator] [-debug]

解説
mtdump は,毎日のバックアップを 支援する簡単なスクリプトです.UNIX の標準的なコマンド dump(8) では,一度のコマンド操作でただ一つのファイルシステ ムのバックアップをとることができます.しかし,実際の運用ではただ一つのファ イルシステムだけのバックアップをとることは少ないでしょう. mtdump は,バックアップの対象となる複数のファイルシステムを あらかじめ設定ファイルに記述しておくことによって,一度のコマンド操作で複 数のファイルシステムのバックアップをとることができます.

mtdump の設定ファイルは mtdump.conf のように記述します.くわしく は mtdump.conf(5) を参照して下 さい.

オプション
-title title
バックアップのタイトルを指定します.このタイトルはあとで mtdumplabel(8)を使ってラベルを 作成するときに役立ちます.デフォルトでは設定ファイルの名前が適用されます.

-config configfile
設定ファイルを指定します.mtdump を実行するディレクトリ からの相対パスまたは絶対パスで指定します.ディレクトリサーチはしないので, 注意して下さい.デフォルトでは /usr/etc/mtdump/mtdump.conf が使用されますが,必ずしも システムに適合した内容ではないことがあるので,注意が必要です.

-logdir pathname
ログを書き込むディレクトリを指定します.デフォルトでは /var/adm/mtdumplog が使用されます.

-logname logname
ログファイルの名前は ログ名.. 曜日. のように決まります.このうち,logname ではログ名を与えます.デフォルトでは mtdumplog が使用され ます.ここで与えたログ名は,-title オプションでタイトルを与 えなかった場合のタイトルとしても使用されます.

-level dumplevle
ダンプレベルを設定します.通常,設定ファイルのダンプレベルの項で与え たレベルが使用されますが,-level を使ってダンプレベルを与え るとそれが強制的に使用されます.ダンプレベルについては dump(8) を参照して下さい.

-dumphost hostname
バックアップ装置の接続されたホストを指定します.デフォルトでは mtdump が動作しているホストを設定します.したがって, mtdump をバックアップ装置の接続された装置で運用する場合には, このオプションは必要ありません.バックアップ装置のないホストで mtdump を運用する場合に有効に使うことができます.

-device devicename
バックアップ装置のデバイス名を指定します.デバイス名の指定によって EXB-8200,EXB-8500,EXB-8505 の各機能 (それぞれ 2.3G まで,5G まで,圧縮 機能付き) を切替えることができる場合に有効です.ここで,デバイスにはノー リワインディングデバイスを指定する必要があります.さもないと一つのテープ に複数のファイルシステムをバックアップすることができません.デフォルトで は /dev/nrst9 が指定されています.

-d density
dump(8)d オプションに相当します.テー プの密度を指定します.デフォルトでは 5G 8mm テープ装置にあわせて 110000 が使用されます.2.3G 8mm テープ装置を使う場合には 54000 を使用することが 推奨されます.

-s size
dump(8)s オプションに相当します.テー プの長さをフィートで指定します.デフォルトでは 5G 8mm テープ装置にあわせ て 11000 が使用されます.2.3G 8mm テープ装置を使う場合には 6000 を使用す ることが推奨されます.

-b factor
dump(8)b オプションに相当します.テー プのブロックファクタを BPI でしています.8mm テープ装置の場合には dump(8) においてカートリッジテープを指定する c オプションでのデフォルト 126 でよいと思われます.mtdump で も 126 をデフォルトにしています.

-admin administrator
mtdump の管理者をメイルアドレスで指定します. mtudmp 実行後の診断に使用されます.

-debug
デバッグに使用できます.mtdumprdump(8) を呼び出さずに,実行予定コマンドを echo によって表示のみし ます.

-help
オプションの簡単な表示をします.

コマンドラインからは,例えば以下のように使用できます.

% /usr/etc/mtdump -config /etc/mtdump/homes.conf -title "Homes Weekly Backup" -level 5
% /usr/etc/mtdump -config /etc/mtdump/weekly.conf -title "Weekly Backup" -device /dev/nrast8 -d 54000 -s 6000

cron(8) を使用する場合には,例えば以下のようにします.

15 0 * * 2,3,4,5 /usr/etc/mtdump -config /etc/mtdump/homes.conf > /dev/null 2>&1
15 0 * * 6 /usr/etc/mtdump -config /etc/mtdump/homes.conf -level 5 > /dev/null 2>&1

関連ファイル
/etc/mtdump/mtdump.conf,/var/adm/mtdumplog/mtdumplog.*

関連項目
mtdump.conf(5)mtdumplabel(8)mtdumplabel.sty(5)

注意
内部的には各オプションを解釈した後 rdump(8) を呼び出し ています.バックアップ装置のないホストへのリモートバックアップをするには, /.rhosts などを使ってリモートコマンド実行の許可をしなければ なりません.

リモートバックアップのため,異なるホストから同じバックアップ装置を同時に 指定してしまう可能性がありますが,当然一つのバックアップ装置では一つのファ イルシステムしかバックアップすることはできません.

診断
正常に mtdump が処理されると,-admin オプ ションで与えられた管理者にメイルされます.管理者はそのメイルを観察するこ とで複数のファイルシステムのバックアップが正しく行なわれたかどうかを診断 することができます.

バグ
毎日のバックアップが負担にならない程度のスクリプトでしかないので,バ グだらけでしょう :-p

$Id: mtdump.html,v 1.3 1995/09/13 00:12:32 morimori Exp $

morimori@lsis.crl.sony.co.jp